はなの病気
はなの病気

鼻水
鼻閉(鼻づまり)
鼻痛
鼻出血
くしゃみ
後鼻漏
においがしない
鼻声
急性鼻炎とはいわゆる鼻かぜのことで、鼻内に炎症が及ぶことで起こります。ほとんどがウイルス感染によるものです。そのため抗菌薬は効果がありません。鼻水、鼻づまり、のどにたれてくることでの咳の症状が多いです。症状の経過や程度によっては急性中耳炎や急性副鼻腔炎、急性気管支炎を起こしている可能性があり、小さなお子様では、早期の対応や診察が必要になることがあります。
アレルギー性鼻炎は、スギ花粉などによって引き起こされる季節性アレルギー(花粉症)と、ダニやハウスダストなどによって引き起こされる通年性アレルギーに大別されます。症状としては、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ・充血などです。原因が特定できる場合は、可能な限り原因の回避と除去(こまめな掃除など)を行います。治療は抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などを用います。目のかゆみや充血を伴うアレルギー性結膜炎では、アレルギー反応を抑える抗アレルギー点眼薬などによって症状を改善します。また、レーザー手術や重症花粉症治療として生物学的製剤、根治的な治療法として舌下免疫療法も行われています。
血管運動性鼻炎はアレルギー検査が陰性で、鼻水、鼻づまり、くしゃみといったアレルギー性鼻炎と似た症状が認められる病気です。目の症状はありません。寒暖差アレルギーともいわれ、温度変化の強い屋内外の移動や温かい食事などで症状が出やすいです。自律神経のバランスが崩れて起こりやすいと考えられており、体調管理が大切です。治療は副作用が少ないステロイド点鼻や漢方、抗ヒスタミン薬を用います。
鼻づまりに即効性のある市販薬の点鼻を2週間以上連用すると発症してきます。一部の処方される点鼻でも起きるため注意が必要です。「ナファゾリン」「オキシメタゾリン」などの成分の血管収縮薬が原因で使い始めはとてもよく効きますが、継続使用すると徐々に効きにくくなり、薬が切れると鼻がつまるようになります。点鼻の中止が一番いいのですが、鼻閉がつらくてやめられないため処方薬(内服・ステロイド点鼻)を併用することをおすすめします。
急性副鼻腔炎は、風邪をひいた後や風邪が長引いたときに生じることが多く、風邪の症状に続いて副鼻腔(鼻の周囲にある4つの空洞:篩骨洞・上顎洞・前頭洞・蝶形骨洞)に細菌感染がもたらされることで起こります。主に鼻づまり、膿のような鼻汁、後鼻漏、咳や痰、嗅覚障害などをきたし、副鼻腔という限られた空間に膿が溜まるために痛みが起こります。
炎症の程度によって発熱を伴うこともあります。鼻処置やネブライザー、抗菌薬等を内服することで、症状は改善していきます。小児は副鼻腔が未発達なため、大人と比較して副鼻腔炎を発症しやすい傾向がありますが、速やかに治療を開始することで、慢性副鼻腔炎に移行しないケースがほとんどです。
副鼻腔炎が長引いて慢性化(3カ月以上)したものが慢性副鼻腔炎です。症状は粘液性(ときに膿性)の鼻汁や後鼻漏が絶えず認められ、のどの違和感や咳の症状が出やすいです。いやなにおいを感じたり、においがわかりにくくなったりします。また、鼻内にポリープ(鼻茸)ができて徐々に鼻閉がひどくなる場合もあります。治療は急性の場合と同様に鼻処置やネブライザー、抗菌薬の少量長期内服などで根気よく治療していきます。改善が乏しい場合やポリープが形成されている場合には手術治療が必要になることもあります。
副鼻腔炎でも特に治りにくいものが好酸球副鼻腔炎です。鼻づまりとにおいの分かりにくさが出やすく、後鼻漏を感じることがあります。気管支喘息をお持ちの方がなりやすい傾向があり、また気管支喘息を持っている方のほうが治りにくいです。鼻の喘息と言われることもあり、手術治療後も再発の可能性があり、治療を継続することが多いです。治療は抗菌薬が効果が乏しく、抗ロイコトリエン薬とステロイド点鼻を用います。ステロイド内服療法は効果があるものの長期内服になりやすく、副作用が多いため推奨されていません。治療効果が乏しい場合は手術治療になります。
鼻中隔とは、左右の鼻の穴を真ん中で隔てている壁のことで、骨と軟骨で構成されています。成人の80~90%はこの鼻中隔が成長の過程で右どちらかに弯曲しますが、症状が無いことも多いです。無症状の場合は治療は必要ありません。しかし、極端に弯曲している場合は、どちらかの鼻が詰まったり、副鼻腔炎になりやすかったり、いびきをかくといった症状が現れてきます。アレルギー性鼻炎を伴う場合は、内服や点鼻薬を使って治療を行います。症状の改善が乏しい場合や重度の弯曲では、根本的な治療となる鼻中隔矯正術という手術を考慮します。
嗅覚障害は、においを感じる経路に障害が起こり、正常ににおいを感じることができなくなる症状のことです。においとともに味覚も分かりにくくなることがあります。嗅覚障害は、障害が起こる部位によって「気導性」「嗅神経性」「中枢神経性」の3つに分類されています。治療は嗅覚障害の重症度や原因によって異なります。
気導性嗅覚障害や嗅神経性嗅覚障害の治療には、薬物療法や通院によるネブライザー療法などが有効です。中枢性嗅覚障害は原因疾患の治療が嗅覚障害の治療につながります。ヨーロッパで嗅覚トレーニング(「バラ、レモン、ユーカリ、グローブの香りを1日2回、10秒嗅ぐ」を3カ月以上継続)による改善が報告され、国内でも効果が認められています。
鼻出血は、鼻を頻繁にかんだり、鼻がムズムズして鼻の穴を指でさわったりすることが主な原因として挙げられます。また、高血圧症や動脈硬化症の方は、鼻出血傾向が強いとされています。最も多くみられるのは、鼻中隔の前端部のキーゼルバッハという部位からの出血です。
キーゼルバッハ部位からの止血は、綿球やコットンを出血している鼻に入れて外側から鼻を押さえます。座った姿勢で少しうつむき気味にし、のどに流れてきた血は吐き出すようにします。この状態を5~10分程度保持することで止血できます。15分以上経っても血が止まらない場合や大量に出血を認める場合は、早急に耳鼻咽喉科を受診してください。
まれではありますが、鼻水に血がよく混じったり長期間の片鼻のつまりがある場合は腫瘍が原因のことがあります。診察には内視鏡を使用します。腫瘍が疑わしい場合はCT検査や高度医療機関へ紹介いたします。
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